鬼の待つ境内
自分の中では、サラッとやる練習と思い病む練習の2種類がある。
サラッとやるのは長い距離、距離を踏むのは苦しくない。
思い病むのはスピードと傾斜の練習だ。
スピードの練習と傾斜は苦しいので、やる前はかなり憂鬱になる。
誰かに強制されているわけでもないので、別にやる義務もない。
やらなくたっていい。
でも、ここをクリアするとカラダが変わる。
1年続ければ、タイムも縮まり本数も増える。
7月はジャパンクラスの第70回富士登山競走があり、8月には富士登山駅伝もある。
昨年富士登山競走は5合目コースで4位、登山駅伝は4区と8区共に区間3位の成績を残すことができた。
登りのカラダを作ったのは、僕が最も思い病む藤枝市の鬼岩寺の階段トレーニングだった。
昨年6月末から年間通して通い、5月からは週1回のペースで脚を運ぶ。
階段自体は220段で、そこから更に砂利道のオプションをつける。
本数と本数の間は2分間。
下りには1分15秒~20秒位かかるので、45秒~40秒は息を整える時間がある。
脚は痺れる位にパンパンで、ガタガタになる。
呼吸は全開で、胸の上下動はかなり激しくなる。
1秒間に3回は呼吸しているくらいにフルスロットルになる。
1本1本に少しも余裕は無い。
昨年はオプション付きで1分36~33秒位で7~9本だったのが、
今では1分32~29秒で10本毎回できるようになってきた。
アップもダウンも無しで、10本で33分15秒位で終わるので、効率もいい。
筋力も心肺機能も極限に追い込まれる、究極の質が鬼岩寺の練習だ。
鬼岩寺を、今週は4日間で3回トライした。
4日間のうち3日目は、高草山で山頂トライアルをやった。
こちらも登り20分、下り10分の極限トレである。
今日は地区の草刈りが終わってから、4日間で3回目の鬼岩寺にトライ。
追い込みまくった4日間、3回目の今日が最もタイムが良かった。
12時過ぎでとても暑く、シューズもビチャビチャになるくらいに汗をかいたけれど、10本で32分58秒とベストタイムだった。
考えてみれば、心肺機能も脚筋力にも限界に近い負荷をかけていながら、実はほとんど距離を走っていない。
鬼岩寺10本でも2km程度、高草山も麓から山頂まで往復4kmだ。
着地の衝撃によるダメージも少なく、疲労はさほど残らない。
月間650kmくらい走っていた冬のマラソン練習に比べたら、散歩のように短い。
たった4日間でも、カラダが変わってきたことを感じる。
短くても、強い負荷をかけることで、カラダは順応していく。
鬼岩寺の階段トレをしている最中、何人もお年寄りが日課のように登っていった。
足腰が利いて、年齢を重ねても元気な秘訣もまた、ダメージを残さず負荷を掛けることができる急傾斜地の負荷のおかげかもしれない。
今後も弱い自分に鞭打って脚を運ぼうと思う。