赤身か白身か
昔はよく「短距離向きの筋肉」や「長距離向きの筋肉」と分けて、
自分は短い距離は得意だけど、長距離は苦手なんて言ったり、
短距離は苦手だけど、長距離は得意なんて言ったりした。
巷にも、遅筋繊維や速筋繊維、白い筋肉と赤い筋肉、
みたいな存在は知られていて、
そのイメージに自分や、周りの人を当てはめていたように思う。
昔は、なんて言い方したけれど、今もそうじゃないかな。
誰しも、色の違う筋繊維を持っていて、人それぞれ割合が違う。
生まれ持った割合は、一生変わらない。
変える事が出来るのは、1本1本の太さ(断面積)だけだ。
繊維の本数は変える事は出来ないが、1本毎の太さを変えると、断面積の割合は変わる。
使い方によって、細いものが太くなったり、太かったものが細くなったりする。
また、トレーニング次第で、速筋繊維の持久的な性質を伸ばすことも出来る。
意外にも、陸上競技の長距離種目は、短距離が速くないと、全く勝負にならない。
スピードをいかに持続させて、駆け引きや展開で前に出るかを競う種目。
短距離が速ければ速い程、長距離では有利になる。
持って生まれた筋繊維の割合は、一生変わらない。
スピードを持って生まれた人が、持久的なトレーニングをしても、
スピードが失われることはない。
生まれながらスピードの無い人が、
短距離走で勝負するためにトレーニングをしても、残念ながら伸びしろは無い。
しかも、長距離でも戦えない。
幸運にも、我々日本人の筋繊維は、速筋繊維も遅筋繊維も50%ずつと言われている。
努力次第で、断面積の割合がどっちにも振れる、大変都合のいい遺伝子である。
だから、日本人に、短距離派も長距離派も無い。
あるのは、思い込み、既成概念だけ。
肉や魚を食べる時は、そんな事を思い出してみて欲しい。