深く掘ると恐ろしい「コトバ」
言葉には、約束という意味が込められている。
こうして、日々拙いながらも発信をしていて、どうしたらより分りやすく、伝わるブログになるか、工夫する日々。
日頃、頻繁に足を運ぶ場所のひとつが、図書館だ。
中学生の頃から通い始め、高校、大学、社会人になってからもよく通う。
新刊本は多くはないけれど、コアな本も多くて、
どこかクラシカルな雰囲気も好きな小さな図書館。
この間、席に着いてノートをまとめ、ふと後ろの本棚にある一冊に目が留まった。
「伝える本。受け手を動かす言葉の技術」という本である。
ネーミングだけなら、ハウツー本に見えるが、中身は全然違う。
僕は手に取って、ざっと目を通して、寒気がした。
そして、そのまま読まずには居られなかった。
世に溢れる言葉をバッサリと切り捨て、いかにこの時代が「言葉不全」であるか、
いかに中身の無い「カラ言葉」が多いかを暴いていく。
更に、言葉が「届く」と「伝わる」のは全然違うこと。
伝わっていない言葉は、意味を為さないということについて、これでもかと深く綴られている。
日本人は、曖昧さが好きだ。
しかしながら、その曖昧さを含ませた表現が、怠慢やズルさの温床になっている。
言葉とは、約束である。
曖昧な言葉は、何も約束していないのと同じであり、いくらでも逃げることができる。
同時に、約束をしない言葉は、相手に何も伝わらない。
伝わるとは、言葉の受け手との約束だからだ。
例えば、本文にはこんな内容がある。
☆熟練を疑う
「当店のスープは、山の幸と海の幸の豊かな恵みを厳選し、熟練の職人の技でじっくり時間をかけて、丹念に仕上げてあります。こだわりの一杯を、ぜひご賞味ください」
というラーメン屋のコピー。
このコピーは、送り手から受け手へ対して、何も約束していない。
客が求めているのは、産地の具体的な情報なのに、その約束は具体的に何もなされていない。
「山+海=自然は素晴らしい」程度のことだとすると、「豊か」と称する根拠はどこにあるのか。
豊かと、豊かじゃないを分けるものは、どこにあるのか。
「厳選した」は都合のいい言葉。材料を選ばない業者はいない。
「恵み」だって、高級に見えるから食品関係で多用されている、手垢まみれの言葉。
その後に続く、「熟練」を名乗る根拠は何か?
「職人」と呼ぶための資格は何なのか?
「じっくり」って何時間なのか?
「丹念」とはどんな作業なのか?
例として、ここに書いてみて、僕はかなり面倒くさいと思った。
だって、こんな話が延々と続くのだから。
そう、この本は相当のくせ者で、図書館の棚の隅にひっそりと追いやられる猛毒本だった。
しかしながら、なぜ僕らの言葉が、人に伝わらないかを、構造から問い直すという基本中の基本の本でもある。
ラーメン屋のコピーは、どこかのコンサルティング会社の苦心の迷コピー。
これほど多くの言葉を並べながら、「当店のスープは豚骨や海産物を使っています」程度のことしか言っていないということになる。
ちょっと待てよ!?
そんな言葉、身の周りに溢れ返っているじゃないか!!!
そして、何よりも、何も約束せずに、何も言っていない言葉だらけの世界が、整体の世界だ。
何も約束しない、政治家のような整体師が闊歩するようじゃ、いかん。
この業界も、インチキペテン師だらけになってしまう。
約束できる、責任ある整体師であろう。
言葉の意味を考え直すと共に、背筋も伸びた1冊の本との出会いだった。
長々と、ありがとうございました。
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