タイトルで挽き付ける
![](https://i0.wp.com/lakuda.net/wp-content/uploads/2018/07/富士宮2018_180718_0002.jpg?fit=2364%2C1773&ssl=1)
本屋が好きだ。
本屋に勤めたいとは思わないが、興味のある本は数知れず。
時間が許すなら、ずっと読みたい本を読んでいたい。
それが僕の人生の着地点。
気が付くと、毎月何冊か本を買っている。
今月は既に6冊。
やる事が貯まっていて、ちょっと読むペースがスローなのがもどかしい。
そんな時に本を読む時間が、何より没頭できたりする。
シューズよりもガソリン代よりも、本にかけるお金が年間で最も掛かっている。
この間の土曜日、先輩に誘われてある講演会に行ってきた。
講演会というよりも、勉強会と言ってもいいかもしれない。
東京江戸川区にある本屋「読書のすすめ」の清水店長がの講話だった。
読書のすすめの名前を初めて聞いたのは、結構前の事だったと思う。
年間で一定額を払うと、毎月清水店長のおすすめの本が、解説と共に届く。
それがとても人気なのだという。
清水店長について僕が知ってるのは、それぐらいだった。
先輩に誘われて、面白そうだから行ってみたのだ。
講話は、数々の本を引き合いにして、時に歴史を紐解き、
世の中の流れを解説していくといったような内容だった。
始めて聞く内容もあって、また自分が考えている事の裏付けも取れて、
非常に面白い内容だった。
やや寝不足で、頭痛がしなければもっと集中して聞けたのに…
と、コンディションが悪かったのを後悔したぐらいだ。
講話の冒頭で、なるほどなと思った事がある。
最近の本屋の特徴についてだ。
本屋の特徴というよりも、出版社の特徴なのかもしれない。
それが、煽るようなタイトルの本ばかりがズラリと並ぶ事。
それから、具体的な内容の本ばかりだという事。
売らんとする気持ちも、分からないではない。
煽るようなタイトルは、ネット記事の見出しや、まとめサイトの見出しに似ている。
ニンゲンの欲に訴えかけているのだ。
マーケティング手法としては、非常に巧妙にやっている。
食わせるべくして食わせる。
上手いな、とは思う。
しかしその構図は、食わせる方も、食う方も、食ってるモノも、魚釣りと変わらない。
エサでおびき寄せて、欲望のままに食らいつく。
煽るようなタイトルは、人間の考える脳ではなく、生き物としての本能に働きかける。
一見すると凄いようだが、次元としては結構低い。
そういう本は、内容も然りである。
具体的な内容の本も同じだ。
「こうすれば成功します」みたいな本。
これ、本当に多い。
タイトルに数字が入っていたり「あなたも○○できます」みたいな。
具体的なものは世の中に無数にあって、無限にあって、
いくらでも生み出すことが出来る。
手法は際限が無いのだ。
具体を追い求めれば追い求める程に、目的を見失って本質から逸れていく。
抽象と具体の関係性は、扇形やピラミッドのような構造になっていて、
具体性が増すほどに抽象から遠ざかる。
抽象度が上がる程に、具体性は薄れていく。
具体的な本にばかり食いついていたら、それは魚と変わらない欲の満たし方なのだ。
清水店長が言ったのは「煽るようなタイトル多いよね」ぐらいで、
後は僕の解釈である。
人は上手くいく方法を求める。
そんな方法は、無限にある。
「どうしたらいいですか」
「何したらいいですか」って、すぐに聞きたくなる。
恥ずかしながら、僕も昔はそうだった。
そうじゃない。
「何のために、どうするか」なのだ。
モノゴトは、突き詰めていけばいくほど抽象的になって、
抽象的な本質からしか、具体的な方法は導き出せないのだ。
タイトルに引き付けられて、具体的な内容の本に惹かれたら、
自分は爬虫類や魚の脳で行動していると思っていいい。
さ、本読んで寝よっと。