リカバリーで強くなる
陸上競技の短距離で活躍していたある患者さんと、施術しながら出た話。
「海外の強い選手って、気分が乗らない時には練習しないらしいよ。
体調や気分が乗らない時にはいい練習が出来ないからって。
でもね、やる時にはもの凄い集中力でやるんだって」
日本人は勤勉な民族だから、休むのは「悪」みたいな刷り込みがある。
1日休んだら取り戻すのに3日掛かるなんて、昔からよく言われたものだ。
そんな刷り込みは、仕事の仕方、働き方にもよく表れている。
成果や仕事の質よりも、日本人の大部分はまだまだ時間的な長さ、量でしか働くことができない。
体調があまり良くない時や、コンディションが悪い時なんて、
練習するだけマイナスである。
いい練習ができないのに、頑張って頑張って、苦し紛れに自己満足に浸る。
残念ながら、日本のスポーツ界の「休まない汚染」は根が深い。
成果の上がらない繰り返しで時間を使い、最大限の集中力を持って取り組むシーンが無い。
コンディションが良くない時には、
コンディションを上げるためのトレーニングに力を注げばいい。
リカバリーに力を注ぐのだ。
より早く動きを良くする、より強度の高い練習をするための準備をする。
方法は無数にあるし、その時々でベストなものは違う。
脳の疲れ具合や体の調子で、集中度は大きく変わってくる。
「1日休んだら取り戻すのに3日掛かる」というある種の強迫観念は捨てて、
「休んだ分だけ調子が上がる」という様に頭を切り替えたいところだ。
1日休んだら、調子が上がって2日目には2日分の成果が上がる。
2日分の仕事を1日で出来て、1日が休めたなら、その方がいいだろう。
2日休んだら、3日目には4日分の成果が上がる位に考えていい。
集中できない状態でやる練習も、仕事も、大して良いものにならない。
成果は上がらない、自己満足だけ。
通常1日8時間かけてやる仕事を、
集中して1時間で片付けて、7時間は休憩しているか、
遊んだり自己投資に回す方がいい。
仕事もトレーニングも、短い時間で終わらせた方が偉い。
長くやっている程、出来ない人なのだ。
集中できるかどうかは、リカバリーに掛かっている。
いかに良いコンディションを作り出すか。
ここに注力すれば、必ず成果は上がる。
リカバリーが十分でないと、ONとOFFの切り替えも無くなるので、
集中するという発揮の仕方も無くなるのかもしれない。
リカバリーは、最大のトレーニングになる。