開業の足かせを外せ
僕もある程度歳を重ねてきて、気が付いたことがある。
世の中の人間は2つに分けられる。
ひとつは短期的にも長期的にも、先を見通すことができて安心を感じるタイプ。
予定通り事が進むことが好きで、その通りに物事が収束することが気持ちいいと感じる。
もうひとつは、先が見えていることに対して失望を抱くタイプだ。
見えてしまってはつまらない、行程通りでは面白くないと感じる。
その時々で起こる状況の変化に対応して、目的の達成に至ることが好きなタイプ。
僕はどちらかと言えばではなく、完全に二つ目のタイプ。
公務員に就職してこのことに気が付いて、当時約40年先まで開通しているレールの行程から終点まで見えた途端に、命の使い方をシフトチェンジしないと勿体ないと感じた。
先が見えると僕は失望してしまうタイプの人間なのだ。
なぜこんなことを書くかと言うと、今日整体のクライアントさんと話す中で、
業種は違えどいずれ独立開業してお店を持ちたいということを聞いたからだ。
僕は迷わず、「どんどん始めたらいい」と言った。
いくつもお店を回って、色んなスタイルを見て勉強しながら、自分の立ち位置や力量を測ってみれば、有るモノや無いモノも見えてくる。
また、この人なら上手くいくなと思った。
冒頭のどちらのタイプでも、独立してから素晴らしく繁盛する人たちはいる。
綿密に計画を立てて、それを遂行していくタイプ。
状況に対応しながら目標を越えていくタイプ。
しかしながら、独立開業の足かせになるのが、前者のタイプの周囲の人間の目だ。
ここを気にするあまり、多くのサラリーマンは独立準備中のまま生涯を終える。
「やれるものならやってみたい」と口にしたまま、一生が終わる。
「まだまだ、まだまだ、まだまだ」これが口癖。
大繁盛店でさえ、いつも課題を見つけ、反省と創意工夫をこらしているのに、周囲の目を気にすると、いきなり上手くいかなきゃいけないというプレッシャーも感じるようだ。
正直なところ、上手くいきっこないのだ。
ずぶの素人が打席に立って、いきなりホームランを打てるわけがない。
大概の場合は三振だ。
三振することでまた何がいけなかったか反省して、めげずに打席に立つ。
この繰り返しで、出塁なり、ヒットが出るようになる。
まずは打席に立たなければ始まらない。
振らないバットには、何も当たらない。
独立準備中の人は、打席に立つことを恐れないで欲しい。
そして、容赦なく三振した方がいい。
三振して、打てそうもないと思えば別の道へ進めばいい。
命を取られることなんてない。
何が何でも打ってやろうと思えば、毎日仕込みに励んでまた打席に立てばいい。
外野の声なんて、単なるヤジと騒音に過ぎない。
クライアントさんがパン屋をやりたいというのを聞いて、まだ開業3年の若造が開業当初を振り返ってみた。
早くパンが食べたいね(笑)