立ち読みを立ち読み
立ち方や歩き方の姿勢、バランスは、動きに関連するのはもちろんのこと、
痛みの原因になったり、その予備軍にも関連する。
姿勢やバランスを正すことは、滞りなく動くカラダ作りにつながる。
2足で立って歩いている人は、それはそれでバランスを取っている。
ただし、そのバランスの取り方は窮屈だったり、無理があることが多々ある。
立てている、歩けていればそれでいいわけではない。
無意識の身体感覚がカラダの構造に変化をもたらし、やがては機能不全や変形につながる。
やっかいなのは、姿勢や歪みには症状が無いことだ。
痛みや動きが悪くなって初めて異常事態に気がつく。
その頃には「当たり前ではない当たり前」がカラダに染みついてしまっているので、
カラダをリセットして感覚を戻すには時間がかかる。
このところ、再現性の高い「姿勢の意識」の作り方を模索していた。
姿勢は崩れていても、崩れていることに気が付かない。
崩れにくいように、意識するポイントがあれば再現することができる。
ピッチャーやバッターが調子を崩す時は、
ほんの少しのタイミングのズレや、重心の位置の違いから起こることが多い。
感覚を見失うということは、プロスポーツの世界にもあることだ。
数値化できない身体感覚は、お汁粉にひとつまみ入れる塩加減のように、
あるようで無く、無いようでそこにはハッキリと存在するものだ。
ふと、動きの悪い立ち方、歩き方、走り方に共通するものが見えたので、
立ち寄った本屋で観察をしてみた。
立ち読みしている人の、立ち方を読む(ボディリーディング)というものだ。
面白い位に共通しているのは、ヘソを前へ出してケツの自由を奪った立ち方だった。
ヘソが前へ出過ぎてケツも前へ出ている。
太ももの前側の筋肉のテンションも強く、股関節に掛かった負荷が動きをぎこちなくしていた。
ヘソは3センチ後ろへ引っ込めて(お腹に力は入れない)、おしりも文庫本1冊分後ろにずらしてあげるだけで、随分楽に立って歩くことができる。
これは、走る時にも同じだ。
側面から見たカラダの重心線を想定した時、おしりは後ろに無いと動きの自由が利かない。
ヘソ出し過ぎ、ケツ前に出し過ぎによって、前傾が強すぎたり、後傾が強くなったりする。
どちらのパターンにせよ、ヘソとケツは引いておかないといけない。
立ち読みする様子を立ち読みするなんて、相当趣味が悪い。
しかしながら、趣味でなくこれもまた仕事であり研究である。
雑誌のコーナーに横に並ぶ人たちの姿は、どうぞ比べて下さいと言っているようなものだ。
自分の姿勢も気を付けたい。
ヘソとケツ、欲を言えばアゴも大事。
この件については後々続編があるかも。