炎症の置き土産

フルマラソンから1週間後。
フルマラソンも走り慣れてくると不思議なもので、初フルに比べて、圧倒的にその後に残るダメージが少なくなる。
恐るべし人間の適応能力である。
とはいえ、フルマラソン1回を走り切れば、非日常的な物理的負荷がからだに掛かることで、細胞レベルでは結構なダメージが残る。
ダメージとは、微細な損傷のことだ。
微細な損傷が起こった部分は、炎症反応が進む。
この炎症反応は、体中から組織の修復材を集めるための、生理的反応である。
修復が進むと炎症も治まり、表面的には筋肉痛も和らぐが、ここにひとつ問題が起こる。
それは、修復と同時に組織同士の癒着。
日本人はキメ細やかで、繊細な仕事をモットーとする民族であるが、残念ながらからだの修復はかなり大雑把だ。
つぎはぎのようになったり、バリは残ったり、元の材質と伸び縮みが違う素材で修復したり、まるで小学校入学前の子がガムテープやセロテープで工作をするような修復になる。
この癒着が、フルマラソン後のいわゆる「根深い疲労感」の原因になる。
つぎはぎ組織の伸縮率が馴染んできたり、何らかのきっかけで癒着が取れないと、疲労感はより長引く。
長く競技を続ける程に、そんな癒着ポイントは年々増えていく。
これはスポーツマンだけでなく、生きている限りつきまとう、宿命でもある。
癒着は血行を制限したり、関節の動きも制限する。
代償の動きや緊張も生むので、組織の修復が済んだら癒着を取ることが好ましい。
癒着の取り方は、何だっていい。
もちろん、効率的で深くまで攻めるアプローチは存在する。
ゆらゆら整体や、安っすいもみほぐしでは、組織をどうするかということは全く無視なので、そちらがお好みの方は、その辺は理解の上でご利用を。
ではでは、おやすみなさい!
