寝かすというプロセス
世界には発酵食品が数多くある。
日本でも納豆、味噌、醤油、魚醤、ぬか漬け、日本酒、パンもそう、まだまだある。
世界でも乳製品のヨーグルトやチーズ、バターも発酵バターがあったり、果実や樹液を発酵させて作るお酒もある。
発酵と腐敗の違いは、人間にとって有益かどうかの違いらしい。
作用する菌の種類や、環境によって、腐っているか発酵しているか決まる。
程度の差こそあれ、発酵は仕込みと一定時間寝かせることが必要になる。
やることやったら、成長するまで置いておく。
この行程は人間がどうあがいても、菌に任せるしかない。
これは、植物や農作物も同じかもしれない。
必要な世話をしたら、あとは置いておく。
変化が進むのを待って、そっとしておいてあげるのがいい。
いくら観葉植物が可愛いからといって、四六時中触っていればいいかと言えば、そうではない。
整体も同じかもしれない。
肩が痛い人の肩を、24時間ずっと触っていたら良くなるだろうか(笑)
24時間は極端だけれども、長い時間と量をかければいいというものではない。
24時間でする仕事量を、仮に1時間で仕込んだとしたら、23時間で体の中でも発酵のような化学変化を進めることができる。
23時間が1時間を形にしてくれる。
人間の体に発酵を置き換えてみると、その時間は睡眠のことを指す。
これは、筋肉や靭帯、関節といった筋骨格系に対してのみならず、脳に対しても発酵させる時間を取ることは欠かせない。
実際、睡眠中に体は修復や補強が進み、トレーニングの負荷に対する適応をする。
脳も睡眠中に大量の情報を整理して、理解や記憶を定着させる。
睡眠が十分にとれていないと、出来るはずのものができなくなる。
目が覚めていても、頑張ってやっているつもりでいても、大して脳も体も働いていない。
直接体に働きかける時間と同じだけ、何もしていない時間が重要なのだ。
日本人は時間や量に頼るばかり、休むことをおろそかにしがちな民族である。
休むのは悪い事であり、休まないのが善であるように刷り込まれている。
しかし、休む時間がパフォーマンスを格段に上げてくれる。
睡眠は、整備や整理をする時間であって、活動時間と必ずセットであるべきもの。
台所の流し台で言えば、洗剤とスポンジのような2つでひとつのもの。
余程のアクシデントやのっぴきならない事情が無い限り、睡眠は最重要事項にすべきだ。
睡眠時間が、生きている時間の全てを決める。
目に見える世界、気分、感情、思考、体調、全てが睡眠次第。
身体機能が15%や20%程度の働きで過ごす人生と、より100%に近い働きで過ごす人生では、3年もするととんでもない成果の違いになる。
何もしない時間、発酵させる時間、眠る時間が何より大事。
寝ている間に成果が出る、寝ている間に差をつけられるって、いいよね。