ハウツーテクニックと最新情報
書店と図書館で働く人を見ると、羨ましく思うことがある。
本に囲まれて働くということが、贅沢に見える。
当人たちは全くそんな意識は無いかもしれないけれど、僕にはそう見える。
ただ、最近残念なのは、本屋さんの店頭に並ぶ本に、随分とハウツー本が増えたことだ。
読書というのはクリエイティブな行為なのに、ハウツー本は趣が異なる。
情報を「仕入れるだけ」に偏り、工夫するという思考が広がらない。
仕入れるということは、ビジネスマンとしては欠かせない行為のように思える。
しかし、現代社会で求められているのは、知識や意識を総動員する思考力を働かせた上で工夫するという、仕事の仕方である。
情報をいくら仕入れたところで、思考力は鍛えられないし、工夫にならない。
ハウツー本をいくら読み漁ったところで、そこに答えは無い。
また、ネット上に一時情報は一切ない。
幾つもの本の中のエッセンスから工夫したこと、創造したことに価値がある。
最新情報でさえ、その情報に対して、どんな見通しや意味を見出すか考えなければ、情報に洗脳されて操作されるだけだ。
仕入れたものを、そのまま出すというのは、釣った魚をそのまま皿に乗せて料理として出すようなもの。
最新情報に飛びついているのは、盲目そのものである。
僕の大好きな本屋さんに、ハウツー本があれだけ並ぶというのは、それだけ買い求めているということでもあるのだろう。
仕入れは、どこまで仕入れても、仕入れである。
この年の瀬に、煌びやかなデザインのハウツー本の並びを見て、少し寂しくなった。
田舎の小さな図書館に並ぶ、古臭い本の方が、光って見えたな。
それじゃ、またね。