野の草は知っている春
今年の冬は暖かいのか寒いのかわからない。
毎年、からだ工房らくだのある旧大井川町は、かつらも吹っ飛ぶ位に風が吹く。
高草山を越えた静岡市の人が冬にこちらに来ると「嵐ですね」と口々に言う。
ところが、それは至って普通の日常であって、嵐でもなんでもない晴天だったりする。
それくらい、よく風が吹くのが当たり前の地域なのだ。
洗濯物が風に飛ばされるのではなく、物干し竿ごとどこかに飛んで行くのがザラだ。
それが、今年はすごく静かな冬となっている。
風がほとんど吹かないか、例年の半分か3分の1程度に感じる。
そのせいか、気温が下がってもあまり寒くは感じない。
実のところ、まだ冬になっていないような気分である。
朝ゴミ出しに行ったときに、梅の花が咲いているのを見つけた。
そうだ、もう春が近づいているのだ。
そこでトレーニングついでに、毎年ふきのとうが出る場所をのぞいてみた。
まさか、出ていないだろうというつもりでのぞいたのだ。
すると、ふきのとうがいくつも地面から顔を出していて、中には開いてしまっているものもあった。
ふきのとうは地面から出だすと、あっという間に伸び切ってしまう。
食べることのできる蕾のままでいるのは、せいぜい1週間~長くて10日だ。
ふきのとうの出る場所は、走っていると結構見つかる。
場所によって、陽の当たり方で出る時期が若干違う。
新しい場所を見つけるのは、大概は伸び切って食べられなくなったものを見つける時だ。
ふきのとうが出る場所を覚えておいて、次の年の1週間の旬を狙わなくてはならない。
ふきのとうは強い香りが特徴で、アクがあってクセがある。
好き嫌いは分かれるかもしれないが、生命力に満ち溢れた食材だ。
今日はあまり時間が無く、急いで採ったので写真を撮り忘れてしまった。
採ったふきのとうは、幾島食堂さんでふき味噌になった。
何に添えても美味しい。
野のパワーが数段増して感じられる仕上がりだ。
明日の朝また採りに行こう。
春はもうすぐそば。
「からだ工房らくだ」