足圧から見る体重移動の現実
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学生時代、ゼミの先生が足の研究をしていたので、
足の外形や重心位置、重心動揺とその他の要素の関連性を調べるために、
随分多くのデータを取った。
小中学校を回って何百人も測定を行ったりもした。
当時は作業としてこなしていた面が強く、分析も面倒だったのであまり好きな研究ではなかった。
今ではもっと専門的に取り組んでいたら良かったと後悔している。
歩いたり、走ったりするのは、重心が動くことと同じだ。
どのように重心が動くかをつかんだり、またそれを変えると色んなことが変わる。
そこで、自分のカラダを使って重心がどう抜けていくのかを調べてみた。
使ったのは、ポリウレタン製の中敷きだ。
タッパーのフタが足型に切られているようなもので、ペラッペラだ。
クッション性も何もない。
この中敷きをまずは沸騰したお湯に浸ける。
すると瞬間的にフニャフニャになる。
熱々の柔らかくなった中敷きを、元々の付属の中敷きを抜いたシューズに差し込み、
直ぐに自分の足で履いてしまう。
あとは、冷えるのを待てば型が付く。
これで、シューズの型と自分の足型の両面を兼ね備えた、
フルオーダーインソールの出来上がりだ。
ちなみに、こういう使い方は中敷きの説明書には全く載っていない。
ポリウレタン製の中敷きを見た時に、
市販のマウスピースの型付け方法(お湯に浸けてから噛んで、冷やす)が使えることをひらめいた。
あとは、この中敷きを装着して走ってみるだけ。
中敷きの傷の付き方、クセの付きかたを分析してみれば、重心の抜け方が分かる。
一般的に歩行でもランニング動作でも、
足の外側から着地をして最終的には拇趾で蹴り出すのが自然な流れとされている。
※「カパンジー機能解剖学」より
しかしながらある文献によると、
より強い蹴り出しには内反動作(足裏が内側を向く)が伴い、拇趾での蹴り出しではなくなるとある。
これは足の構造上、内反動作を伴った方が強く蹴り出すことが出来る仕組みによる。
17km(途中10kmのビルドアップ走を含む)を走った中敷きには、
走動作の常識を考え直さなければならない痕跡があった。
やや見にくいが、左足の外側に向けて引っ掻いたような傷が残っている。
右足も同様に、外側に向かって傷がついている。
つま先方向や、拇趾球の方向には全く傷がついていない。
これが意味するものは、何か?
ひとつは蹴り出しの際の内反動作に伴い、
拇趾以外の四趾で踏み切った痕跡だと考えられる。
でも、もしそうだとしても、外側過ぎないか!?
「内反動作が大きいのは先天的にスピードを持っている選手の特徴だ」
実業団の陸上部で監督をし、現役時代は5000mで国体チャンピオンになった人からそう聞いたことがある。
拇趾を介さず四趾で蹴り出す重心移動の動作がもし理想形であれば、
それを妨げる形状のシューズは相当数あるのではないだろうか。
キーポイントは、拇趾ではなく四趾!?
この分析は、これからじっくり取り組んでいこうと思う。
ランニングの常識が変わるかも。