筋膜・仙腸関節ファンタジー

最近は、筋膜リリースや仙腸関節の調整といったワードが、
新聞や雑誌でもよく取り上げられているらしい。
「こんな記事が載っていたんです」といって、僕も似たような記事や同じ記事を何度も見せてもらった。
で、仙腸関節の歪みを正すとあらゆる不調が全部良くなるとか、筋膜リリースが最新の絶大な効果があるものみたいなファンタジーが広がる。
記事を持ってきた患者さんに、仙腸関節がどこにあるかを聞いてみると、
ほとんどの人が「尾てい骨の×○※▽◆…」みたいにしどろもどろになる。
当然と言えば当然でもある。
記事には図も載っているけれども、そもそもが自分のカラダのイメージ(車体感覚)が無いので、図を見たところで仙腸関節がどこにあるかわからないのだと思う。
自分のカラダのイメージも無しにカラダを動かすのだから、うまく動かなくて当然といえば当然と言える。
この、わからない、イメージできないというのがミソで、理解できないものには期待もまた付きまとうというのが人の性である。
筋膜リリースもまた然りで、いかにも最新の画期的なアプローチ方法のように、書籍も出ている。
筋膜リリースのための器具もよく売られている(これは結構スグレモノ)。
世の整体屋さんの施術のほとんどは、実際には筋膜リリースを織り交ぜながら施術しているわけで、実は筋膜リリースは何十年も前から、いや何百年も前から、ひょっとしたら数千年前から行われてきたものだ。
筋膜リリースという言葉ばかりが先走っているのは、とっても気持ちが悪い。
良くも悪くも、これが現代メディアの煽りだ。
煙が立っていないものまで、燃えつくすまで大きな火に仕立て、
あったことが無かったことのようになる。
仙腸関節の話も、筋膜リリースの話も整体の世界ではスタンダード。
ファンタジーな世界観が広がって、誤解が生まれないようにしたい。
患者さんも、自分も日々勉強。
それではまた。
「からだ工房らくだ」