強さはもろさ、弱さは丈夫さ
ヒトのカラダは、成長段階が上がるに従って、
様々な変化を遂げていきます。
男はより男らしく。
女はより女らしく。
男女の差はあるにせよ、共通して起こる変化が、
骨格の形成です。
幼児期にはまだ形成段階であった骨も、
成人になるにつれ完成していきます。
骨格が形成されると、得るものと失うものがあります。
それが、力強さと丈夫さ。
例えば、男性の場合は筋肉が大きな力を発揮するために、
筋肉のアンカーには硬い骨が必要になります。
硬く、密度が細かい重い骨は筋肉が動く時の支えになります。
この時、力強さを手に入れるために犠牲にするのが、
「丈夫さ」
いやいや、硬いのは丈夫でしょう?
と言いたくなるのはわかります。
実は、硬いというのはもろさでもあります。
硬いものは、割れたり欠けたりします。
陶器はうっかり落としてしまうと割れますが、
プラスチックのコップはそうそう割れません。
これは、陶器とプラスチックの硬さの違いです。
硬いというのは、力を出しやすくする反面、
衝撃にも弱い面も持ち合わせています。
大人になるにつれて、骨格が硬く、
より詰まった骨になってくると、
ちょっとした段差から降りる衝撃が響いたり、
ぶつけたりしたものが痛いのはこのためです。
また、成人になるにつれて筋力が上がると、
関節は固く締まるようになります。
力を発揮した際に関節を壊さないためと、
筋肉の性質のためです。
一方、骨格が形成途中の幼少期は、
骨自体が柔らかいです。
関節も柔らかいことが多いです。
そのため、高いところから飛び降りたり、
子ども同士がぶつかっても、
そう大怪我にはなりません。
柔らかいものは、ぶつかっても衝撃を吸収します。
ただし、柔らかい骨は、筋肉が強い力を出そうとした時の、
支えになることはできません。
骨が柔らかいと、強い力を出すことができないのです。
「筋力トレーニングをすると背が伸びなくなる」という、
都市伝説を聞いたことがあります。
僕が小さい頃もよく聞きました。
骨の成長のためには、筋肉が骨を引っ張る刺激が必要と言われているので、
身長を伸ばすためにマイナスどころかプラスになると考えられます。
そもそも、柔らかい骨では強い力を出すことができないので、
骨に見合った筋力しかつきませんし、弊害は無いと思われます。
大学野球をやっている頃、練習用に竹製のバットをよく使っていました。
竹バットは折れにくい反面、飛距離が出ません。
竹はメイプルやアオタモといった硬い材質のものに比べて、
非常に柔らかかったのだと思います。
柔らかさ故に折れにくく、柔らかさ故に飛ばなかったのでしょう。
毎週選手のケアのために、
静岡大学硬式野球部に出張をしています。
明日の午後は15時頃から17時半頃まで、静岡キャンパスにいます。
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