スタミナとは何なのか?
先日、親子ほど年の離れた後輩の整体の先生と話をしていて、
「スタミナって何なんですかね?」と唐突に聞かれました。
こういった、素朴な疑問を追究していくのは面白いし、
こうした中に本質が隠れていることだって多い。
カタカナの「スタミナ」という言葉は、実にファンタジーであり抽象的です。
スタミナ定食は実体があっても、何を称してスタミナと名付けているのかわからないし、
スタミナという物質があるわけでもない。
「スタミナがある」
「スタミナが切れた」
「スタミナをつける」
こんな言葉は、昔からよく聞きました。
スタミナがあるというのは、無尽蔵にキレのある動きができることを指します。
スタミナが切れたというのは、ばてて動けなくなったか、ペースダウンした状態です。
では、スタミナをつけるって何だろうか。
もしスタミナが物質だとしたら、カラダに脂肪をたっぷりつけた人は、
それだけエネルギーの在庫を持っているのでスタミナは満載です。
でも、その状態をスタミナがあるとは言えません。
僕が後輩の先生に返した答え。
「体内のエネルギーを代謝して推進力に変える能力です」
咄嗟に出た言葉でも、これなら色んな説明がつくと思うのです。
スタミナがあるとは、代謝能力が十分に働いている状態。
スタミナが切れたとは、体内のエネルギーを推進力に変えられなくなった状態。
理論上は、ヒトの体内からエネルギー物質が枯渇することは有り得ません。
ヒトの身体そのものがエネルギー物質だからです。
ただ、極端な飢餓状態に陥ると、心筋の痙攣などの心不全を起こします。
(長期間の断食や、摂食障害などの場合でないと起こり得ない)
「スタミナをつける」というのは、
エネルギーを代謝して推進力に変える力をつけるということになります。
ここからちょっと掘り下げていくと、代謝して推進力に変える能力には、
いくつかの要素があることに気がつきます。
1、筋力・筋持久力
2、最大酸素摂取量(有酸素能力、身体に酸素を取り入れる能力のこと)
3、運動のフォーム(ロスが少ないこと)
4、集中力(精神力、ココロのスタミナ、考え方)
これらの要素がバランスよく強化されているのが「スタミナがある」という状態です。
この4つはどれが欠けてもエネルギー代謝がガクッと落ちます。
トレーニングの方法によってもちろん、運動中にも変化します。
トレーニングは、この4つの柱をどう伸ばすかを工夫することだと思います。
マラソンや陸上の中長距離だけでなく、実は短距離の100mも、
後半はスタミナ(特に有酸素能力)の勝負になっています。
速い選手に置いていかれるのは、スピードが無いからではなく、
スピードを持続させるスタミナが無いから。
1500mの世界記録は、
1998年にモロッコのヒシャム・エル・ゲルージが出した3’26”00
これは、単純計算で50mを6.9秒で走り続けないと出ない記録です。
運動経験のある男性なら、6.9秒よりも速く走ったことがある方は結構いるはず。
でも、僕を含めてそのスピードを持続するスタミナが無いのでタイムが出ないわけです。
持っているスピードを活かすも殺すも、スタミナ次第です。
スタミナとは「体内のエネルギーを代謝して推進力に変える能力」でしたね。
そんなことを意識してトレーニングすると、成果が変わってくるかもしれません。
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