アスリート専用呼吸整体のRootsその3
こちらの続き
事故に遭ってから、何か月ぶりかに自宅に帰って来た師匠のリハビリが始まった。
呼吸器は離脱したといえど、呼吸するチカラは強くはなかった。
一度神経が遮断されたカラダもまた、思うように動かすことができずにいた。
呼吸するチカラが弱くても、全身の細胞は酸素を求める。
細胞の要求により、息を乱しながらの呼吸が24時間続く。
健康体の人に置き換えてみれば、息が上がってゼーハーする状態が常になるようなもの。
安静状態なら横隔膜のわずかな上下動で完了する一度の呼吸を、
ありとあらゆる筋肉を緊張させて、力ずくで吸い上げて吐くといった状態だった。
これを努力性の吸気、呼気という。
激しい運動の最中に、酸素の交換が追いつくようにするための、緊急手段だ。
緊急手段でしか呼吸できなくなっていた師匠のカラダは、
疲労とエネルギーの消費がかなり激しくなっていた。
リハビリ隊員達にまず課せられた使命は、呼吸障害と呼吸疲労を改善すること。
弟子たちで毎日入れ替わり立ち代わり、リハビリのための整体がスタートした。
当時の僕は、リハビリ隊員の一員であるにもかかわらず、
師匠のカラダに全くと言っていいほど、何も出来なかった。
むしろ、何もしない方が師匠のためになるくらいに、ひどいビギナー整体師だった。
(色々足りない所や気付いていない所が多すぎた)
命の狭間を彷徨った所から、やっとこさ抜け出した所で、
追い打ちをかける様なリハビリ整体では、余計に疲れてしまう。
程なく僕は、リハビリ隊員失格を言い渡されるのだった。
またまたつづく