筋繊維を叩いて叩いて叩き潰して

現代のトレーニング科学は「過負荷をかける→超回復」という考え方がベースにあり、
負荷を掛けた後は回復させる期間を取らないといけないとか、
負荷の高いトレーニングを毎日続けるのは逆効果だと言われております。
図にすると、こんな感じです。
超回復をする前に過負荷をかけると、回復しないので逆効果と言う理屈です。
この超回復理論は、現在ほとんどのトレーナー、スポーツ指導者の中では、
常識となっています。
実際のトレーニングの考え方としては、悪くないとは思います。
ただし、超回復理論で問題なのは、
超回復が効果的に起こる(生理学的化学変化を起こす)水準の負荷は、
オールアウト(運動が続けられなくなる)ことが原則であるということが、
あまり意識されていないという点です。
かける負荷が甘いと、超回復も起こりません。
現状維持の体力水準にとどまってしまいます。
このオールアウトというのが実にくせ者で、
自分の主観として「追い込んでいる」と思っていても、実質的には甘い負荷であるということがほとんどなのです。
出来る限り、苦しいものからは逃げたいのが、人の性。
もっと出来るのに、限界や壁を決めてしまうのが、人間です。
腹八分目どころか、七分目や六分目で、十分だと感じてしまうんですね。
オールアウトというのは、上半身で言えば歯磨きが自分でできなくなるくらい、
下半身で言えば、階段の昇り降りができなくなる位のダメージが残る負荷です。
でも、それを実際に続けるのはなかなか難しい話。
超回復理論は簡単ではないのです。
そこで僕が生理学的な変化を起こすために実践しているのが、
「超回復させない」理論です。
それが「筋繊維を叩いて叩いて、叩き潰す」という負荷のかけ方です。
超回復を起こすために叩いて潰すので、元は超回復理論と変わりません。
ただし、過負荷をかけたらそのダメージが回復しないうちに、
更に過負荷をかけることを繰り返します。
筋繊維を叩いて、叩いて、叩き潰すというのは、
そういうイメージを持って筋肉に負荷をかけていくということです。
冒頭の図で言えば、曲線を下方向に掘り進めていくのが、叩くということ。
実際には高強度の負荷を3日から5日間かけ続け、
その後2日から3日間かけて中負荷から低強度の負荷に落とすか、
休養に充てて回復を図ります。
叩いて叩いて叩き潰していくと、繊維の詰まった密度が濃い筋肉ができるのが特徴で、
見た目も筋肉の形がくっきりと出てきます。
回復は後からさせればいいので、負荷を掛け続ける期間を作る。
負荷を十分にかけたら、回復させる期間を作る。
これが、超回復させない超回復です。
理論や知識として超回復という言葉を知っている人は多くても、
言っていることとやっていることが、合っていないことがしばしば。
超回復させないなんて、故障や怪我をするのではという疑問に関して。
怪我や故障はカラダを動かす角度や方向の問題なので、
超回復の間に直接的な関係はありません。
以上、実践トレーニング理論でした。
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