荒川河川敷への道【後編】
1Fのロビーで買ってきた夕飯を済ませる。
少しゆっくりして、2Fにある自分のベッドスペースに戻ったのは21:30頃。
寝る前にやるのは、もうシャワーを浴びて、歯を磨くことくらいだった。
レースのための支度は、ほとんどを済ませて持って来ている。
御前崎で1日勉強会、からの東京までの移動。
翌日には朝からフルマラソン。
なかなかのスケジュールである。
早く寝た方がいい。
そう思ってシャワーを浴びにいく。
2Fのシャワー室は供用で2つ、女性専用のものが1つあった。
23時以降には1つしか使えなくなる。
騒音対策だろう。
リフォームして間もないのか、それとも日頃の管理のせいなのか、シャワー室も脱衣室も清潔感があった。
正直、少しなめていたのだ。
供用部分は少しばかり汚くても仕方ない。
そんな前提を覆すように、シャワー室だけでなく、洗面台やトイレも清潔感がある。
汚すのがはばかられる。
そんな供用スペースだった。
直ぐに寝ても寝付けるか分からない。
少し本を読んだり、Twitterを覗いたりして、眠りに入ったのは22時半頃だったと思う。
朝の乗る電車を決め、6時15分にアラームをセット。
ドミトリータイプでも周りの音は気にならず、よく眠ることができた。
アラームよりだいぶ早く、5時45分頃には目が覚めてしまった。
早い分にはいい。
1Fのロビーで朝飯を食べることにした。
写真はチェックアウト前のもの。
ドリンクサーバーでコーヒーを注ぎ、昨日コンビニで買っておいたパンを頬張る。
歯を磨いて、身支度と荷造りをしてチェックアウトするために2Fに戻ると、靴箱が全て埋まっていることに気が付いた。
満席、満員である。
このご時世に。
それもそのはずだ。
ここはおよそ1泊1400円なのだ。
ほとんどが長期滞在か、ほぼ住んでいる様子だった。
仮に1500円としても、1ヶ月で45000円。
水道光熱費込みである。
独り身なら、ここに居る方がいい。
ホテルを出て、日暮里駅までは直ぐだ。
銭湯も入り損ねたなと、朝になって気がつく。
昨日目の前で閉まった立ち食いのうどん屋は、シャッターこそ開いていたが、まだ準備中だった。
静岡には無い、縦に長い消防署。
どの階まで署が入っているのか、全部なのか気になってしまった。
日暮里から巣鴨で山手線から都営三田線に乗り換える。
既に日暮里駅から、ランニングシューズを履いた人がちらほら居て、巣鴨に着く頃には乗客の半分がランナーになっていた。
都営三田線の西台で降りれば、15分程歩いて荒川河川敷に着く。
下調べはしてあるが、みんな不安ではある。
ランニングシューズと、ジャージを履いたランナー達がお互いの様子を見ながら方角をそれとなく確認し、ゾロゾロと駅から河川敷までの道を歩いていった。
しばらく歩くと、段差が大きく急な土手が立ちはだかる。
荒川河川敷に着いたのだ。
ここまで歩いてきた道と、この階段は、マラソンが終わったら足を引きずって歩くランナーのゾンビ街道となり、まともに昇り降りができなくなるのが目に見えた。
レース後、実際そうだった。
会場では着々と準備が進められていた。
静岡のど田舎からここまで来るのがまずは第一段階。
あとは走るだけ!!
移動も含めてレースなのだ。
レースそのものは渋いベストタイムになったとはいえ、貴重な経験が出来た荒川への道だった。