ターゲットタイマーON
フルマラソンのレースも近く、どんな練習をしたとか、こういうプランで…
といったSNS投稿やブログの記事を目にすることが増えた。
僕も陰ながら、自己ベスト更新のためにコソ練する日々だ。
体調や練習の内容、設定タイムやその結果によって、本番当日が思いやられる。
そう思う人は、あなただけじゃない。
あれやこれや、色んな策を講じてみたりもするだろう。
同じことを繰り返し行い、違う結果を期待することよりは、ずっといい。
何か突破口が見えるかもしれない。
ただし、しなくてもよい取り越し苦労に終わり、時間を無駄にすることもある。
競技では、無駄なことをした者が負ける。
突破口を見出す工夫と努力は重ねながらも、無駄なことはしてはいけない。
こだわる必要の無い所にこだわらない。
一喜一憂しない。
すべきことだけに集中する。
やることやったら、振り返って改善点や収穫を次に活かす。
良い所は続くように、不具合や課題は解消すべく頭をひねる。
ベストタイム更新がなぜ難しいのか、今日は初歩の初歩の罠について考えてみたい。
例えば、フルマラソンで3時間を切りたいという目標を立てるとする。
それからは、目標達成のために練習が動き出す。
ところが、多くのランナーが3時間という壁に行く手を阻まれる。
何回トライしても、どうしても3時間を切れない、切実な思いをもつランナーは、何万人もいる。
これには、あるカラクリがある。
「3時間を切る」という目標は、2時間59分59秒なのか、2時間30分なのか、具体的な目標ではない。
目標を定めているようで、全然定まっていない。
また、「3時間」という数字が頭にあるから、練習がフルを3時間で走る練習に寄っていく。
目標が定まっていないから、逆算した1日の練習の方向性が薄く、意識する数字に引っ張られてしまう。
これが、目標設定の一番の罠だ。
「そうは言っても、過去のベストは自分の限界であって、それを切ることを目標にしたい」
という方は、ここまで僕が書いてきたことを全く理解できていない。
その限界は、本当に限界だったのか?
体調や気象条件、レース展開やコースの状態で、タイムはいくらでも左右される。
長距離競技は距離が長くなる程、流動的な不確定要素に、大きく結果を左右されるスポーツだ。
限界と思っているものは、ちょっとした差で変わる。
ちょっとしたきっかけで、5分も10分も変わる。
限界だと決めているのは、自分なのだ。
ベストタイム更新をするというのが目標なら、きちんと数字を決める事。
3時間切るというのではなく、2時間57分なのか、2時間34分台なのか、秒数までより明確にすべきだ。
ここが定まらないと、練習が始まらない。
また、目標設定は必ず更新分の余白を取ること。
3時間20分を切りたいなら、3時間10分なり3時間15分にターゲットを定めないと、3時間20分は切れない。
「3時間20分を切る」という設定は、「3時間20分くらいでゴールする」という設定の練習に取り組むことになる。
ゴールラインで止まるのではなく、その先まで駆け抜けるからこそ、ゴールラインでのスピードが維持できる。
目標設定の罠にハマってはいけない。
こんなこと、偉そうに書くのも恥ずかしいけれど、案外足元に穴があるものだ。
賢く練習する、賢くレース運びをしながら、何があるかわからない本番は、目標設定を取り払う思い切りと、辛抱強さも同時に持ち合わせておいて欲しい。
自分の枠を壊すのがレース。
攻めて攻めて、攻めて押していく。
プラン通りの走りは「ペース走」をしただけであって、レースではない。
そんなことを、JOGをしながら考えてみた。
低いセルフイメージは、いかん!!!