アクシデントは転機

4月に腓骨頭を骨折してから、レースからも距離を置き、しばらく一線を退いていた。
一時的に機能低下しているところと向き合いながら、競技力を戻すべく日々リハビリを重ねている。
骨折は外傷であって、事故みたいなものだ。
防ぎようのないアクシデント。
と思えば納得はいく。
実際、受傷したときは一瞬で何も出来なかった。
一瞬の出来事に、復帰までに8週間。
完全に骨の強度が出るまで12週かかる。
骨の修復には奇跡の治癒も無ければ、魔法もない。
それでも、予定よりも大幅に早く回復していることは喜ばしい限りだ。
避けられないアクシデントだったかもしれないが、今思うとそもそも怪我をする素地はあったのだと思う。
ハインリッヒの法則のように、1回の事故には似たようなことが何回も日頃から起きていて、意識していないか表面化していないだけだった。
瞬間的に足をさばいたり、空中での姿勢を調節したり、目測を立てたりするといったコントロール能力が、知らず知らずのうちに錆びついていた。
骨折するべくして骨折したのだと反省している。
受傷当初は手術は避けられないと思っていたし、レースに戻る見通しは全く立たなかった。
しかし、6/1と6/2とトラックレースにもトレイルレースにも復帰できた。
まだまだリハビリ過程ではあるけれど、自分にとっては大きな一歩だった。
走れなくなって、一度立ち止まってみると、やれていなかったことや課題が見えてくる。
体には様々な刺激が必要なのに、忙しさや時間を言い訳に、いつも同じパターンの運動を選択しがちだ。
繰り返しやることが必要なものと、そこで凝り固まったものを打ち壊すという2つの振り幅が必要なのである。
今回、春の一番気持ちの良い季節を台無しにして、僕は代わりに大きな宝物を見つけることが出来たのかもしれない。
時には立ち止まる。
アクシデントに泣くだけじゃ僕は納得いかない。
倍返しどころか、踏み台にして立ち上がってやろう。
レースの記録はまた後日。