頂点を極めろ!

今年も悩ましい季節がやってきた。
日本でこれ以上過酷なレースを、僕は知らない。
富士登山競走のエントリーだ。
富士吉田市役所から富士山頂まで、
21kmで標高差3000mを駆け上る。
1回目は5合目コースしか出場できない。
2015年、そこで初出場の洗礼を喰らった。
最後尾のブロックからのスタートで、立ちはだかる1000人の壁。
例年なら涼しいはずの場所で、記録的な酷暑の中のレース。
痙攣する太もも、ふくらはぎ、すね。
全部が両脚同時に攣る。
迫り来る後続の選手、見えていて追いつけない背中。
舗装路から山に入ってから逆転して、ギリギリ5位にすべり込んだ。
地方のローカルなレースでちょっと名を知られていても、
ここへ来たら簡単に捻り潰される。
自分の居た世界の小ささを思い知り、同時にこんな世界があるのかと胸が躍った。
5合目コースの完走と入賞で、
翌年から5合目・山頂両コースの優先エントリー権を得た。
次こそは山頂コースで戦うのだ!
と意気込んでいた矢先、2016年の年明けに右膝を負傷した。
2月末に手術、富士登山競走は7月末。
到底間に合うとは思えなかったが、
一縷の望みをかけて山頂コースを諦めて、再度5合目コースにエントリーした。
信じられない程走れなくなった状態から、リハビリ。
3カ月でなんとか回復してきて、2016年は1ランクアップの4位。
タイムも気象条件に恵まれて、前年よりも3分程縮まった。
初の山頂コースは2017年。
3時間切りで10位以内の入賞を狙っていたが、撃沈して3時間7分で21位。
ジャパンクラスの洗礼を再度受ける事になった。
そして、2度目の山頂コース挑戦の2018年。
10位に入ったものの、タイムは3時間00分25秒。
コース変更で若干距離が長くなり、
例年なら3時間切れていると言われたが、
1位~9位までは2時間台で、入賞者のうち自分だけ3時間を切れなかった。
更に悔しかったのは、自分よりも上位の選手が3~4分前に何人もいた事だ。
この3分、4分、何とかなったんじゃないか!?
最後に足攣って動けなくなって、プロランナーに離された40秒も、
何とかなったんじゃないか!?
超絶苦しくて、しんどくて、お金も労力も掛かる。
トレーニングも苦し過ぎて考えたくない。
でも、まだ納得できない。
ジャパンの頂点獲らないと、気が済まないのだ。
プロのランナーにも、スポンサー契約してるランナーにも、
登りで負ける自分が許せない!!!
いよいよ、やるか。
脚筋トレ地獄と心肺機能地獄。
ロードのスピードも磨かないと。
世界選手権代表も、何人も出てくるだろう。
特にここには負けるわけにいかない。
日の丸背負ってるメンバーが、何だってんだ!!
昨年は10位。
今年は3位以内だな。
優勝だって狙うよ。
鬼岩寺インターバルだって15本やるよ。