ボクサーと鉢合わせ

最も思い病むトレーニングと言えば、「鬼岩寺の階段」である。
今日はもう日も暮れる夕方にようやく手が空いたので、登りに行ってきた。
富士登山駅伝、富士登山競走も近いので、
最低でも週1回は行くようにしている。
ノルマのインターバル10本は、短い時間で終わるのはいいが、
実は最もやりたくない練習だ。
いつもノーアップで始めることもあり、
1本目にあっては乳酸が大量発生し、全身が硬直して痺れる。
血流が十分に回っていない状態で高負荷をかけて走ると、酸素不足になり乳酸が発生する。
2本目、3本目になると、
今度は血中に溢れた乳酸をエネルギーとして使うことができるので、一気に余裕が出てくる。
乳酸が疲労物質などというのは、半世紀前の運動生理学であり、完全に誤りである。
乳酸をエネルギーとして使う能力の開発こそが、スピードトレーニングの核。
今日は5本目を終えて降りている時に、下から登って来る人がいた。
狭い階段なので、挨拶しながらすれ違う。
登り方からして、ただの人ではないことがわかった。
その人が登り切って上で休んでいる間に、僕は残りの本数を重ねる。
誰かに見られているだけで、集中力が増す。
いつもなら命辛々終える10本が、明らかに余裕を持って終えることができた。
駐車場で着替えながら、階段で一緒になった人と話す。
同じ苦しみを味わっただけで、知り合いになれるのだ。
話を聞くと、その人はボクサーだった。
身長179cmで、試合前は59~57kgまで絞るらしい。
階級からすると、スーパーフェザー級かフェザー級だ。
僕が180cmで、だいたい68kgくらい。
増えることはあっても、68kgからはほとんど減らない。
もっと軽くなれたらなと思いつつも、筋力があってこその登坂力。
筋肉量が減ったら走れなくなる。
実際、減量が結果に結びつかないのはこれまでも経験済みだ。
180cm近い身長で、60kgを切るなんて、考えられない。
いや、考えられなかったが、似たような体型の人が、そこまでできるのなら、
僕にもできる気がしてきた。
減量中のボクサーは脱水や低血糖でフラフラで、
とても長距離を戦うコンディションでは無い。
数字をそのまま当てはめるのは間違いだが、
僕にも無駄なものを削る余地は相当残されている。
ヒルクライム競技は重力との闘い。
軽い者が圧倒的に有利。
工夫を重ねて、体調を崩すことなく60kg台前半まで仕上げてみたい。
ボクサーとの出会いが、世界観を変えた。
焼津市・藤枝市の整体「からだ工房らくだ」
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