背骨は引いて動かす
以前、と言っても数か月前のこと。
割と名の通っているらしい治療家の施術を受けるチャンスに恵まれた。
強度はさほどではでもないけれど、毎日20km前後走っていると、
誰かにカラダを触って欲しくなる(もちろん変な意味でなく…)。
イベントの出展でブースを設けて、「国家資格を持ったプロが施術します」と書いてあった。
その先生は、僕のような無名の若造のことなんて知るはずがない。
でも、僕はその先生がメディアにも出ているのを見たことがある。
お手前拝見のチャンスなので、
走り込みでギンギンに固めた脚を引っ提げて、いかにも「ただのランニング好きな人」という顔をして施術を頼んだ。
施術を受けてショックを受けた。
有国家資格者でも、キャリアが長くても、名が通って顔が知られていても、
表面を撫でて、さすっている位の事しか出来なかったからだ。
特にカラダの動きや感覚も変わることなく、何かが改善されるわけでもなく、
「一定時間触ってもらって、どうもありがとうございました」くらいのものだった。
触られていても、何をどうしたいのか、どこをどうしたいのか、全く分からない。
僕のカラダは、骨が触りやすく、筋肉も分かりやすいので相当触りやすい。
にも拘らず、調整すべき場所を全然触ってもらえない。
たまたま調整すべきポイントに当たったとしても、撫でてさするだけで、通過していく。
筋肉もまともに触っていないので、関節の矯正・調整には程遠かった。
有名店と聞いて食べに行ったお店が、残念だった時のような感覚だった。
それはそれで勉強になった。
実は世の中は、そんな撫でてさする程度の施術で、整体してますって言う輩がほとんどらしい。
整体は「動いていない所を動かすこと」でカラダの機能を正常化するものだ。
撫でてさするだけでは、動いていない所が動かないのは小学生でもわかる。
この間の日曜日の午前中、技術のスパーリングは、整体師としての基本を徹底的に。
背骨の動きを確かめながら、ひとつひとつに動きをつけていく、脊柱のモビリゼーション。
これを復習しながら、冒頭からの話が思い浮かんできた。
そういえば、背骨もまともに動かしてもらえなかったなと。
フミユセラピストアカデミーで学んだ整体師の強みは、
背骨を押すだけではなく、引いて動かすことができること。
基本はいつまでも基本。
臨床で通用するためには、基本を徹底的に極めないと。
背骨を動かせないのは、整体師ではない。
気を付けよう。