奈良マラソン2018(ゴール編)

さて、シリーズでお届けしている奈良マラソンの旅。
6’40”辺りから通過
いざ、奈良マラソンへ!!(前日編)
奈良マラソン2018(前編)
奈良マラソン2018(中編)
奈良マラソン2018(後編)
前回は25kmのぜんざいを食べ損ねた所まで。
ゴールまでの残りは、約17km。
お腹を下して、エネルギー切れの危機が迫る中、後半は果たしてどうなるのか!?
ではでは、どうぞ。
25kmの通過1:38’51”(20’14”)←トイレ休憩込み
ここからは緩やかな登りが27kmまで続き、28.5kmまで緩やかに下る。
その先には、奈良マラソンの最難関の峠越えに差し掛かる。
29.5kmの白川大橋は、ランナーが最も苦しめられるポイントと言われているが、
登りはそこで終わらず、32kmの手前まで続く。
ぜんざいを食べ損ねた後、緩やかな坂を登りながら、
登り坂で動きのギアが噛み合ってくるのを感じた。
25kmの地点では、総合で70位。
ここから、どれだけ巻き返す事が出来るのだろうか。
登りでペースアップし、そのままのリズムで28.5kmまで下る。
ここからは、殺人的と称される峠が待ち構えている。
この時点で、前半の突っ込みが響いて、
ゾンビ状態になりかけているランナーを、数人捉え始める。
坂が始まると、脚の回転が急に上がった。
何かのスイッチがONになって、体の動きが変わる。
ひた隠しにしてきた、登り専門ランナーの本領を、
ここへ来て本能的に発揮し始めたようだ。
下りよりも、平地よりも、登りが走りやすい。
前半で死んだようにペースを抑え、
後半で突如息を吹き返す、キョンシー走法の発動!!
1.5kmぐらいの間に、先行していたランナー達がボロボロ落ちてきて、
恐らく15人位は抜いたと思う。
何も食べていないので、いつエネルギー切れを起こすか分からない。
しかし、もうここは押し切るしかない。
30kmの通過1:58’52”(20’01”)
トイレ休憩があったとはいえ、
ほぼ下りのみの20km~25kmのペースよりも、
峠区間の5kmのラップタイムがやや上回る。
特異体質の僕にはよくある事で、逆万有引力の法則が働いた。
逆万有引力の法則とは、
下りのタイムと、登りのタイムが、ほぼ釣り合うというもの。
下りが遅過ぎるのか、登りが速いのか、未だに定かではない。
最もキツイと言われる登りを、ペースアップして通過。
30kmを過ぎても、登りはまだまだ続く。
前に見えるランナーが、あっという間に近づいてきて、
抜く度に調子が上がってくる。
並走する間もなく一瞬で抜くので、みな驚いた顔を見せる。
いい気になって、調子に乗る。
32km手前で急な登りが終わり、峠を下ると、
私設のエイドステーションを発見!!!
地元の方が、好意で置いてくれている給水ポイントだ。
実は往路で準備しているのを見ていて、後半で寄ろうとマークしていたのだ。
なぜなら、そこにはコーラがあったから♡
ここまで無補給で32km走ってきた自分にとって、
「高糖度でカフェイン入り」という、
ジャンクフードの帝王とも言えるコーラは、
命を繋ぐミラクルドリンクなのである!!
紙コップに半分程度の補給でも、低血糖になりかけていたので、
口に含んだだけで目が覚めるようなスパークが起きた。
私設エイドの有志の方々が、仏に見えた。
更にその先、32.9km地点にある公設の給水所には、バナナがあった。
3分の1ぐらいにカットしたバナナを、地元の学生が渡すべく待ち構えている。
ゴールまで残り約10km、時間にして40分あまり。
今食べても、消化吸収されてエネルギーになるのは、ゴールしてから。
それは分かってはいたが、迷うことなくバナナをもらった。
バナナ1本のカロリーは大きいものでも100㎉。
3分の1なら約30㎉。
このバナナを食べても、500m分のエネルギーにもならない。
しかし、そんな事は重要ではない。
純粋に、バナナを味わう。
バナナを噛み締めて、消化の良いようによく噛んで、
「美味しい」という喜びを推進力に変えるのだ。
体の中に何も入っていない自分には、バナナを食べるだけで元気が出た。
35kmの通過は2:17’53”(19’01”)
登りで加速し、そのままの勢いで下ってきた事もあり、
今回のマラソンの最速ラップを刻んだ。
25km~35kmまでで、25人ぐらい抜いたと思う。
ここまで来たら、残りは7km。
35kmの表示を見た時、なんだかとても名残惜しい気持ちになった。
「終わらないアップダウン」と言われるように、
難関コースではあるけれど、こんなにもきつくて、
こんなにも人が温かい大会に、僕はこの10年巡り合った事が無い。
奈良マラソンは、どこの大会よりも人が温かい、熱い。
一瞬ですれ違ってしまう、沿道の人達の声援が、背中を押し続けてきてくれた。
危機的状況に追い込まれた自分には、それがよく分かった。
もう少しで、42kmの旅が終わってしまうと思うと、急に寂しく感じた。
35kmを過ぎてから、前に招待選手の女子(2位)と、
招待選手の男子大学生の背中が見えた。
男子学生の方がかなり消耗していて、女子選手に引っ張ってもらっている。
抜くためのターゲットが見えると、こちらの集中力も上がる。
徐々に差を詰めていた時、目の前に急激な坂が現れた。
36km手前にある、距離は短いが傾斜が急な坂。
コース全体を通して、この坂が一番きつかったかもしれない。
この坂があっただけで、この1kmのラップは4’23”掛かっていた。
坂を利用して招待の2人に追いつき、傾斜が緩くなった所で、一気に抜かせてもらう。
まだまだ脚は動く。
37.7kmで給水所に再びバナナが置いてあり、
中学生が配給していたのを受け取った。
二桁順位のランナーはほとんど給食を取らないので、
僕が受け取ったのが相当珍しかったらしく、
中学生が大騒ぎしていた。
僕からしたら、自分が奈良公園の鹿になったような気分だった。
更に38kmでは、中盤までトップ争いしてた招待選手が歩いていて、
ここでも順位を上げさせてもらう。
39km地点22’20”辺りから
奈良公園まで戻って来て、奈良県庁を右に曲がると、
39.6kmの最後の給水。
少しペースを落として、落ち着いて2杯の水をもらった。
40kmの通過2:37’46”(19’53”)
残り2kmで、前に見えた3人の背中も捉え、
ゴールの鴻池陸上競技場までのラスト1kmの登り坂も、
苦しみながらも脚は止まらずに走り切った。
ゴールタイムは、2:46”54”(ネットタイム2:46’51”)
総合35位/8990人中(30代男子15位)
25kmの70位から、大幅なジャンプアップ。
終始アップダウンが続くこのコースでは、会心の走りだったと思っている。
ゴールシーンは3:09’40”辺りから
スタート前に食べたものは途中で全部スルーし、
結局レース中に食べたものはバナナ3分の2(60㎉)。
食べるタイミングが遅く、結果的には水分のみの補給で全て走り切ってしまった。
補給のエナジージェルが無くても、体内のグリコーゲンと体脂肪だけで、走り切れる。
これまでのフルマラソンの中では、もっとも体力的に余裕があって、
レース後も元気でダメージも少なかった。
食べ損なったぜんざいは、会場のブースで1杯200円であったので、
落ち着いて熱々を味わった。
この時のぜんざいは身にしみ渡り、体の芯から温まった。
ちなみに、スタート前から防寒用で着ていたゴミ袋は、
暑くなったら直ぐに脱ごうと思っていたのに、
低い気温と強風を遮るのに丁度良くて、ゴールまで着ていた。
後半まで体力を温存できたのは、ゴミ袋が冷気を遮ってくれたからだ。
まだまだ書きたい事はあるのだけれど、
3000文字を越えたので、今日はここまで。
奈良マラソンの追記は、続きます。
来年は、10位以内を目指して攻め込むぞ!!
長々と、ありがとうございました。