富士登山競走振り返り(5合目まで)

7月27日の富士登山競走、山頂コースの振り返り。
連日の猛暑は嘘のように涼しい富士吉田。
多分気温は20℃台の前半だったと思う。
スタート直前、兄貴分の富山の黒豹高瀬さんには「行けよ!!」と喝を入れられる。
(高瀬さんは世界選手権の代表経験もあり、今回は見事3位入賞の成績を残した。)
昨年は高瀬さん22位、僕が23位と悔しい思いをして、
お互い作戦なり対策なりを、かなりみっちり分析し直した。
「結果を残すには、9割に近いペースで5合目を通過する」
これが高瀬さんの作戦。
後半がキツイのは前半抑えて行っても、飛ばしていっても同じこと。
だったら、いいリズムで押し切って後半の登りに入った方がいい。
これは昨年のゴール後にも話していた事だった。
高瀬さんはその通り、スタートからロード区間を飛ばしていく。
2位を走る高瀬さんに着けないことはないが、途中で脚が終わることを恐れると、
どうしても前半で突っ込む勇気が僕には無かった。
山頂コースは21kmあるうち、11kmがロード区間、10kmが山岳区間。
このうち、15km地点の5合目が、時間配分的には中間地点となる。
昨年は、5合目に上がるまでに脚を使い果たしていた。
中間地点でもう打ち上がってしまった後は、
レースではなくゴールまで這って行くような耐久戦で、地獄を見た。
昨年中間地点で潰れている分、どこまで脚に余裕を残せるかを考えていた。
高瀬さんとは逆で、5合目まではひたすら抑えて、得意の山での後半勝負と決めていた。
第3集団でややスローなペースと感じながらも、
体力を温存しながら集団の後方で息を潜めて登っていく。
11km地点(通称・馬返し、ここから山岳区間)の手前になると、集団がばらけ始める。
そこでも「まだまだ」とリズムを保って、他の選手に先行を許した。
馬返しの通過は15位くらいだったと思う。
山岳区間に入ると、一気に走りやすくなる。
ただし、5合目から上で撃沈したら戦線離脱なので、ここでも抑える。
それでも途中で2人抜いて順位を上げた。
そうこうしているうちに、後ろからプロトレイルランナーの小川壮太さんが迫って来た。
小川さんはHOKA ONE ONEと契約を結んでいる国内では数少ないプロ選手。
一気に小川さんに差を詰められて抜かれるが、
何故かその後差が広まらず、後ろにコバンザメのようにくっついて、5合目を通過した。
この時も脚には余裕があり、走って登るチカラがまだまだ残っていた。
昨年は登れども登れども見えて来なかった5合目を、
ちゃんと「通過点」として走って通過できたことで、
残りの6kmで先行する選手たちを逆転できる余力があることを確信した。
5合目から上は、また明日。