水見色トレイル2018
静岡平野を見渡す事が出来る、高山・市民の森。
そこで行われるトレイルレースが「水見色トレラン」だ。
水見色は静岡市にある山間の地域。
藁科川の中流域から少し登っただけで、絶景と山里の温かい雰囲気が楽しめる。
これまで「水見色」という名前は聞いたことがあっても、実際に脚を運んだことは無かった。
大井川の下流域で育ち、生活している身からすると、
静岡市街から離れた山合いの集落には、行くきっかけが無かったのだ。
今年はたまたま日程が合ったので、
今回で4回目を迎える水見色トレランの個人4周の部(4km×4)に出走。
1周4kmの中に、登りと下りの繰り返しが凝縮されていて、
中々のスパイスの利いたコース。
「静岡の熊」望月将悟さん監修のコースには、毎度毎度苦しめられる。
しかし、苦しい中にも楽しめるポイントがいくつもあって、
マジになって遊ぶスイッチをONにしてくれる。
アップダウンの波が襲い掛かる(笑)
天候は前日からの雨が残り、少雨と霧。
コースの9割以上は未舗装で、当然の事ながらぬかるんでいたり、滑りやすいコンディション。
スピード勝負ならNewBalanceの「summit unknown」で、
滑る下りで勝負するなら、
イノヴェイトの「X‐TALON200」のどちらかのシューズで行こうと考えていた。
コースは泥濘が多いので、安全策を取ってX‐TALON200を選択。
軽さと登りの反発性、下りの操作のしやすさはsummit unknownの方が上だが、
泥濘のグリップに関してはX‐TALONの右に出るシューズは無い。
ところが、いきなり1周目の半分、わずかな舗装部分でスリップして吹っ飛び、転倒。
右膝を激しく打ち付けて打撲&流血。
苔が生えて雨で濡れているアスファルトへ、フルスピードで突っ込んでの自爆。
もしもの転倒用にワークマンの作業用手袋をしていたので、受け身を取って最小限の怪我で済んだ。
とはいえスピードも出ていたし、アスファルトで打ったのでかなり痛い。
出来るだけ膝は見ないようにして、最後まで逃げ切った。
マジマジと見たら余計に痛くなる気がして、怖くて見れなかった。
4周目にも転んだけれど、そこは泥の場所という事もあって擦り傷で済んだ。
4周のタイムは1時間33分46秒でトップ。
周回数が増すほどに荒れるコースを、何とか走り切ることが出来た。
スタート前とゴール後に、昨年のチャンピオンと話す時間が取れた。
僕と同じように、学生時代に陸上未経験からのランナー。
「草薙激走会(クサゲキ)に強いランナーがいる」とは聞いた事があった。
けれども、同じレースや近い場所で走っているのに、会う接点が中々無かったのだ。
お互いのレースの話や、練習方法、これからの目標など、
走る者同士ならお互いに共有し合いたい事を、短い時間ながら話すことが出来た。
持ち前の明るさと笑顔で、レースを楽しむスタイル。
内に秘めたハートの強さと、負けず嫌いな性格。
年上相手に失礼だけど、、、ほんと良い男!!!笑
これぞランナーの鏡。
これからレースで会ったり、一緒に練習したりする楽しみが増えた。
水見色は空気が良い、景色も素晴らしい。
水が綺麗で、山並みが美しい。
そして、人が何より温かい。
そんな水見色の良さが、レースの雰囲気にも色濃く出ていた。
オフィシャルで盛大な大会も悪くないけど、人の温かさが出る、手作りのレースが大好き。
走る事だけじゃない、タイムや順位じゃない、
おもてなしや経験を持ち帰ることが出来る大会は、ずっとずっと続けて欲しい。
今回、初めて水見色に行くことになって、
また来たいと思ったし、すぐにでも行ってみたい場所も沢山見つかった。
アクセスだって悪くないし、遠くない。
「こんな良さがあるんだよ」と、山奥からちゃんと発信している。
「自分の事を知ってもらって、気に入って楽しんでもらって、また来てもらう」
この時代に、まだ薪で煮炊きしてお風呂入っている山奥に、
ハウツー本にもビジネス本にもまともに書けない、
最も古くて一番新しい、ニンゲンの生き方の秘訣が詰まっている。
水見色トレイルレースのスタッフのみなさま、地元関係者のみなさま、
ありがとうございました!!
参加された方々も、お疲れ様でした。
記憶に残る、素晴らしい大会でした。