鼻毛は抜くな
ブラジリアンワックスを使って、鼻毛を抜く。
それはもう、ゴッソリと抜ける。
割り箸を半分に切って、その先にワックスを絡め、
垂れないように気を付けながら、鼻にブッ込む。
長い割り箸は、ワックスが冷える間に、どこかにぶつかる危険性がある。
突き上げの一撃を喰らったら、大惨事だ。
ワックスが冷えて固まれば、GOサイン。
ひと思いに、胸椎にスラストをかけるかの如く引き抜く。
割り箸の先端には、コロナウイルスのような形をした、
鼻毛のネギ坊主がくっついてくる。
これを、今まで何度やってきただろう。
抜いた後の鼻腔の風通しの良さは、クセになる。
鼻毛が出てる事も気にしなくていい。
マスクしてるからって、
実は鼻毛がコンニチハしてる人いるでしょ?
ワックスは一掃できていい。
しかし、しばらくすると、またボーボーに復活してくる。
毛根から抜いても、再生能力が凄まじい。
鼻毛を抜くと風通し良くて気持ち良いんだぜ。
っていう話を父親にすると、
必ず「鼻毛は絶対に抜くな!死ぬぞ!」と言われる。
昔からそうだった。
「鼻毛は抜いてはならない」
それが唯一のムラタ家家訓だと言ってもいい。
不届き者の僕はそれを完全に無視して、
これまで幾度となく、
鼻毛の完全伐採に着手してきた。
毛を抜くと鼻腔の風通しは最高に良くなるが、
その分粘膜が外気にさらされることになる。
外気が乾燥している時は、呼吸するとヒリヒリして痛い。
乾燥から粘膜を守るために、鼻水も出てくる。
この鼻水がまた、とめどなく流れてくる。
そこにはもう、鼻毛は無い。
ブラジリアンワックスで抜いた後は、
鼻毛の仕事を鼻水が担うことになる。
5月の乾燥した空気は、粘膜に堪えた。
鼻の奥の奥までヒリヒリした。
一方、5月の最初に完全に抜き切ったのに、
1カ月もすると生え揃ってしまう再生能力。
今月は、家訓に従い、鼻毛は切ることにした。
梅雨時は、カビが発生しやすい。
この時期に喉が痛くなったり、
微熱が出たりするのは、経験上カビのせいだと思っている。
鼻毛フィルター無しで剥き出しの粘膜に、
活性化したカビから体を守れるはずがない。
よって、しばらくは鼻毛は抜かず、切って処理する。
風邪っぽくても、病院にかかりづらいこのご時世。
こんなアホくさいような体調管理も、身を守る上で大事なこと。
もう一度言う。
鼻毛は抜いてはならない。
切る時は、気をつけてね。