魔法の鍋が踊る
料理は化学らしい。
だから、分量や熱の入れ方、形や大きさを守れば、再現性の高いものが作れる。
近頃では圧力鍋もフライパンもどんどん進化している。
そんな中で、少し前に我が家にも新兵器となる鍋がやってきた。
真っ黒な鉄の塊の鍋、いわゆるダッチオーブンだ。
最新の鍋というよりも、現代では最も原始的な作りの鉄鍋だ。
キャンパーやBBQの場で愛され、目にしたことがある方も多いと思う。
鋳鉄剥き出しのゴツゴツした巨大な鍋。
この鍋を一目見た途端、僕の頭には色んなシーンが浮かんだ。
・底は深いが炒めものが出来る
・肉も魚も焼ける
・揚げ物だってできる
・焼き芋焼ける
・焼き芋と一緒に茹でていないゆで卵ができる
・この大きさなら、冬に鍋もできる(十分な容量があって冷めない)
・焦げ付かないから洗うの簡単
1個あればオールラウンドに使える!!
更にイタズラ小僧の発想が働いて、どうしても使いたかったのが「ご飯を炊く」こと。
釜で炊いたご飯は美味しい。
土鍋だって美味しく炊ける。
そうは言っても、このご時世、IHのキッチンでは現実的ではなかった。
ダッチオーブンならご飯炊けるんじゃないか!?
鉄の鍋で炊いたご飯がどうしても食べたい!!
という僕の勝手なわがままにより、「調理の中心はダッチオーブン生活」が始まった。
巨大なUFOのような鉄の塊は、扱いがまるで分からない。
そんな時は、とりあえず使うという作戦が最も有効だ。
何でもかんでもダッチオーブンで作るうちに、熱加減や扱いにも慣れて来た。
ダッチオーブンでご飯を初めて炊いた時のこと。
なぜか、長男も次男坊もやたらご飯を食べておかわりを連発した。
それまで、おかずは食べてもご飯は進まず、食べるように言っても食べないという押し問答が続く日々だった。
それが、鉄の鍋で炊くようになった途端に、ムシャムシャ食べるようになった。
長男曰く「ご飯が美味くなった」らしい。
夜も朝も、食が進むことで時間的にも余裕ができるようになった。
勝手に食べてくれるようになったのは嬉しいことだ。
それまでジャーで炊いていたのは何だったのか!?
無難に綺麗に炊くことが出来るのは確かだが、仕上がりも味も全然別物だ。
なぜか、ダッチオーブンで炊いたものは、冷えても美味しい。
原始的な鉄のUFOが我が家で大活躍している。
ちなみに、3合を炊くのに中火より少し強くして13分炊き、10分間は蒸らし。
その23分間の間に、それだけでおかずになる具だくさんの味噌汁を作り、肉か魚を焼く。
肉も魚も火にかければ手は掛からないので、気が向けば煮物やサラダも出来る。
23分後には、ツヤツヤの温かいご飯とおかずのドッキングだ。
鍋でご飯を炊くなんて、一見手間がかかりそうだけれど、色々楽になった。
最新家電も素晴らしいけれど、武骨な鍋も素晴らしい。
使い勝手のいい、ひと回り小さいのももう一個買おう。
ダッチオーブンが出来るのは、色んな料理じゃなくて、家族の食卓をより楽しくすることだったんだね。
色々な機能よりも、未来を変える力の方が魅力がある。
鉄の塊恐るべし。