第47回富士登山駅伝5・7区
第47回富士登山駅伝競走大会 結果
最初に、今回はちょっと長めです。
心してお読みください。
今大会は、前々回までの絶対王者トヨタスポーツマンクラブ、
熊本の入賞常連のGGRCが欠場。
直前で欠場になるチームもあり、参加は従来の約半分になっていた。
前評判として、清水RCの連覇は確実。
しかし、余裕で勝てると踏んでは、足元をすくわれる。
富士登山駅伝が怖いのは、参加チームのレベルの高さ以上に、
コースの過酷さに失速を余儀なくされるということだ。
途中までは順調に進んでも、どこかで大ブレーキが掛かる。
穴が無かったチームが、どんどん順位を上げていくという、
サバイバルレースなのだ。
ホームランよりも、堅実な送りバント。
区間賞を獲るに越したことは無いが、
エラーしないことが勝つために必須。
絶対王者のトヨタがいない今大会でも、油断はできない。
トヨタが出ていたとしても、勝つ走りをしなければならない。
それに、有力選手を集めて、初参戦で上位に食い込むチームだってある。
参加には、選手の持ちタイムが大会側に査定される。
参加を許された新規チームほど、未知数で警戒すべき存在なのだ。
今大会、自分の成績は、
5区4.24km(登り1017m)
50分19秒(区間2位)
7区3.66km(下り1017m)
8分44秒(区間5位)
5区は他のチームとの差を決定的にして、
6区(山頂折り返し)以降に余裕を作るのが仕事。
後半の下り区間で無理に攻める事無く、差を守ることができればいい。
登りの5区で決定打を出し、下りの7区で流れに乗せる。
全く毛色の違うことを、2時間の中でやらなければならない。
それが、実際には1区から4区まで作ってきた貯金を、削ってしまった。
2位チームとの差は、かなり詰められた。
繰り返しやってきたタイムトライアルや、富士登山競走の調子からして、
47分30秒を狙っていた。
それが、3分近く余分にかかってしまった。
1度も本番で50分かかったことは無かったのに、前回よりも1分落とした。
区間賞は47分27秒で、スカイランニング競技ユース世界選手権の代表選手が獲った。
下り区間も前回より20秒ほど落としている。
視界が極めて悪いという条件と、転倒して走行不能になるよりは、
堅実に下るという判断を加味しても、区間5位はいただけない。
何より反省すべき点は、準備段階からミスを重ねていたということだ。
5区を走る前に、軽いマラソンシューズに履き替えた。
大概、その日に「いけるか、いけないか」はここで分かってしまう。
足入れ感で、その日のコンディションが分かる。
自分の脚にバネが貯まってない、砂礫に負ける、登れる感覚が無い。
嫌な予感がした。
それでも、走り出せば登れてしまうこともある。
良い方に賭けるしかない。
でも、動き出しから予定通りのラップを刻めず、
ラストの300mは練習よりも50秒余計にかかった。
やれることをやり尽してスタートラインに立つ。
それが自分のスタイル。
なんて事言っておきながら、僕が犯した最大のミスは、
自分を信じられなかったことだ。
7月頭から、毎週末トラックレース、
富士山でのタイムトライアルを重ねてきた。
富士登山競走の翌々日にも、タイムトライアルをやった。
準備を重ねるとは聞こえはいいが、僕は不安だった。
怖かった。
高負荷を重ねれば重ねる程、負荷には適応するが、
有酸素能力は削られていく。
有酸素能力はレース中の回復力(スタミナのベース)だけでなく、
トレーニングとトレーニングの間隔の回復力を左右する。
酸素を全身に運ぶ力は、低強度かつ長時間で培われる。
高強度の酸素負債が掛かる負荷は、酸素を運ぶ力を破綻させる。
それは、刃物が研げば研ぐほど切れるようになる半面、
刃が薄くなり、欠けたり折れたりするようなイメージだ。
7月中、負荷を掛け続けてきた僕の有酸素能力(スタミナ)は、
焼き切れてしまった。
回復力が追いつかなくなり、酸素負債が掛かりやすくなり、
血中乳酸濃度が直ぐに上がってくる。
登りのリズムが上がらない、ペースが伸びない、壁にぶち当たる。
不安で、怖くて、タイムトライアルを重ね過ぎた。
自分がやってきたことが信じられなかったからだ。
最後は下り区間でスピードコントロールが利かず、転倒した。
僕の脚の限界だったのだと思う。
登りだけでなく、下りでも後輩たちに助けられっぱなし。
チームスタッフのサポートが無ければ、どうなっていたかわからない。
僕は精神的にも、肉体的にも、まだまだ弱かった。
実は、過去3回を振り返ると、タイムトライアルでタイムが出るほど、
本番ではタイムが出ていない。
トライアルは、やっても3回。
累積標高を重ね、基礎作りとして長時間の行程になるようなトレーニングをしていた方が、
本番で結果を出すことが出来る。
冷静さを欠いたなと、今になって思うのだ。
過酷に挑む価値がある。
来年は、後輩たちの作った貯金を決定的な差にする走りをする。
一緒に戦ったチームメイト、サポートメンバー、
運営スタッフ、他チームの同志達に感謝したい。
みんな本当にありがとう。