タイ古式とラーメンとカレー

日本人が愛してやまないもの、それはラーメン。
日本人で初めてラーメンを食べたのは水戸光圀公だと言われている。
明から来た朱瞬水という人が作った汁そばが、日本人が初めて食べたラーメンらしい。
中華料理店にはメニューに必ずあるラーメン。
全国津々浦々、特色のあるラーメン店も数知れず。
現在日本で食べられているラーメンは、完全に日本料理となっている。
そもそも、中国語で言う「拉麺」とは、単なる麺という意味しかない。
いわゆる日本で食べられているラーメンは、中国では「日式拉麺」として認知されており、中国人も日本料理として認めている。
「日式拉麺」は中国でもお店があり、人気を博しているということだ。
先日、タイ人の患者さんが訪れた。
タイと言えば、トムヤムクンとパクチー、そしてタイ古式マッサージである。
話を聴くと、タイにはマッサージ屋は幾つもあるが、一度も行ったことは無いと言う。
むしろ、現地の人はほとんどタイ古式マッサージを受けないらしい。
日本にもタイ古式マッサージは、数多くある。
いかにも本場という雰囲気で施術する所が多い。
しかしながら、本場でタイ人が受けていないことを知ると、ちょっと残念な気がする。
同じように、インド人がバーモントカレーを食べていないように、ナポリタンが日本にしかないように、異文化は正統から離れると名ばかりで全くの別物に姿を変える。
名ばかりは似て、非なるものが出来上がる。
とはいえ、日本のラーメンも素晴らしい、バーモントカレーはインド人に認められないかもしれないけれど、間違いなく美味い。
ナポリタンだって、日本にしかないが僕は大好物だ。
タイ古式マッサージも、ラーメンやカレーのように日本独自の味になっているかもしれない。
だとしたら、タイ古式マッサージという名前は、改めるべきではないか。
ラーメンを食べながら、そんなことに想いを巡らせてみた。