オートラップはOFFにして
レースはことごとく中止。
目標を失ったランナーも多い。
目標が無い中で、トレーニングを続けることに、身が入らない事もあるだろう。
一方で、じっくり時間をかけてトレーニングができる、という人もいる。
また、レースが無くなった事で、ペースや距離を気にせず、
走ることそのものを味わえるようになったという声も聞く。
僕もそのひとりだ。
今日は何キロ、ペースは何分を、一切気にしない。
体の声に耳を傾けて、体と対話する。
いつもそれを続けてきたつもりだったけれど、
ついつい目先のレースや数字に縛られて、大事なものを見失っていた。
見えているようで、見えていなかった。
何のために走るのか。
シューズに足を通した時の感触、
走り出した時の脚の動き、
吹く風の香り、
体温が上がってきて広がる動きと、
速くなる呼吸循環。
スピードに乗ってきた時、滞りなく流れていく1歩1歩。
速くなる程に、意外な程地面を柔らかく感じる。
無限に感じられる、体からのレスポンス。
自由になって、体を動かす事の気持ち良さを、純粋に感じられる。
レースで戦うためではなく、走る事そのものを楽しむ。
原点を、僕は見失っていた。
GPSのオートラップで、キロ何分何秒と出てくる。
その表示すら煩わしくなった。
ラップは手動のみに切り替えたら、走る事がもっと自由になった。
気にするのは、帰る時間だけでいいのだ。
大会が無い今だからこそ、走る面白さを味わえる。
風を切ってどこまで走る気持ち良さ。
それが今度は、原動力になる。
純粋に走ろう。
もっともっと自由になれる。